松山市の北部に位置する松山港海岸(和気・堀江地区)は、約850mに渡り白い砂浜が広がり、夏場には海水浴やマリンスポーツで賑わう砂浜です。しかし、堤防の老朽化や浸食作用によって海岸線は後退しつつあり、その結果、砂浜が狭くなるだけでなく、防災機能が低下し、高潮や波浪の被害を受けるようになりました。
そこで松山港湾・空港整備事務所では、自然豊かな砂浜を復元するとともに、周辺の景観に配慮しつつ、高い防災機能を持った海岸の整備を実施し、平成20年に完成しました。
時に大きな被害をもたらす高潮。実は和気・堀江地区の背後地域は低地帯が広がっており、平成3年の台風19号における高潮で浸水などの被害を受けました。
この高潮を防ぐためには、堤防の整備が不可欠です。しかし、従来から行っている堤防を高くするかさ上げ方式の整備では、周囲の景観を損い、人々が砂浜や海岸にたどり着けなくなるなどの問題がありました。そこで、砂浜を大きく広げることで波の勢いを弱め、堤防の高さを従来よりも低くする面的防護方式を採用。また、スロープを設置するなどのバリアフリー化にも努め、地元住民や海岸利用者が親しみのもてる海岸整備を行いました。