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海岸保全施設整備事業

南海地震の歴史

近い将来に発生が確実視されている南海トラフによる巨大地震。記録によれば、この大地震は有史以来、一定周期で発生しており、その周期はおよそ100~150年とされており、現時点で発生確率(南海トラフ地震)は30年以内に70~80%、50年以内に90%もしくはそれ以上となっております。この大地震が発生した場合、どのような被害がもたらされるか。私たちは、過去の歴史に学び、そして将来に備えなければならないのです。

  • 684年

    白鳳南海地震

    規模:M8.4
  • 887年

    仁和南海地震

    規模:M8.6
  • 1099年

    康和南海地震

    規模:M8.0
  • 1361年

    正平南海地震

    規模:M8.4
  • 1605年

    慶長南海地震

    規模:M7.9
    102年
  • 1707年

    宝永南海地震

    規模:M8.4
    147年
  • 1854年

    安政南海地震

    規模:M8.4
    山越家文書
    ▲山越家文書。
    安政南海地震の際に那賀郡答島村東浜(現阿南市)の堤防が破損した時の堤普請銀 (修復費用)を借りるための借用証です。
     92年
  • 1946年

    昭和南海地震

    規模:M8.0
    昭和南海地震(昭和21年)による浅川港(海陽町)の被災状況(上空写真)
    ▲昭和南海地震(昭和21年)による浅川港(海陽町)の被災状況。地震により発生した津波のため、集落が壊滅的な被害を受けました。

    昭和南海地震の津波により港に打ち上げられた船
    ▲昭和南海地震の津波により港に打ち上げられた船です。(牟岐町)
     74年
  • 現在


迫りくる大地震の姿

〈安政南海地震〉
 この巨大地震は、近畿から四国、九州東沿岸にわたり甚大な被害をもたらしたと記録されています。この地震により発生した津波は大きく、3,800軒余りの家屋が流失したと、当時の阿波藩の記録に残っています。
〈昭和南海地震〉
 紀伊半島沖で発生した大地震では、橘湾以南では3~5m、小松島以北では約2mの津波が押し寄せたと言われています。そして、この地震・津波による県内の死者数は202人と伝えられています。
〈近い将来に発生が確実視される南海トラフ巨大地震〉
 今、ひとたび大地震が発生した場合、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか。地震被害はもちろん、地震と同時に来襲が予想される巨大津波に対して、背後の市街地を守りたい。そこで、より地震に強い、地域基盤づくりが早急に求められています。
 徳島県南部の海陽町に位置する浅川港は、三方を山で囲まれた典型的なV字型港湾であるため、過去幾度も津波による災害に見舞われています。湾口防波堤(延長740m)は、港内静穏度確保及び津波防護効果を発揮することを目的に、平成7年に建設に着手し、平成18年度に完成しました(事業主体:徳島県)。
浅川港の津波防波堤(上空写真)
浅川港の津波防波堤

撫養港海岸直轄海岸保全施設整備事業

 撫養港海岸の背後地には、徳島市、阿南市に次ぐ人口約6万人を擁する鳴門市があり、JR鳴門駅をはじめ、市役所等行政・文化施設や徳島県の災害拠点病院(鳴門病院)も立地し、都市機能や地域医療において重要な中心地域となっています。
 撫養港の海岸保全施設は、昭和36年(1961年)の第2室戸台風被害を契機に整備された堤防であり、建設後40年以上が経過し亀裂の発生、水叩き等が陥没する等、老朽化が著しい状況でした。
 今後30年以内に70~80%程度の確率で発生が予測されている南海トラフを震源域とする地震が発生した場合、液状化により既存の堤防は倒壊及び沈下することが予測されました。直轄海岸保全施設整備事業は、その後に来襲する津波から背後住民の貴重な生命・財産を守ることを目的として、老朽化した堤防の嵩上げ及び液状化対策等を実施するほか、東北地方太平洋沖地震から得た教訓から、堤防の粘り強い構造への補強や大型の陸閘の電動化・自動化を実施し、平成29年度に完了しています。なお、自動化された陸閘(フラップゲート式陸閘)の設置は、国土交通省港湾局管内初の取り組みであり、撫養港での設置後、全国の港湾局所管事業に導入されております。
事業期間 総事業費 堤防(改良) 水門・樋門 陸閘(新設) 陸閘(改良) 防護人口 防護面積
H18~H29 約162億円 2,590m 9基 10基 10基 約10,200人 約330ha
鳴門市撫養港海岸(上空写真)
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フラップゲート式陸閘

・本事業で得られた知見は「港湾・海岸におけるフラップゲート式陸閘技術マニュアル」として結実し、海岸防災の土木技術の普及に貢献しています。
・フラップゲート式陸閘は本事業以降、徳島県海陽町の浅川港を始め、全国の海岸等に広がっています。


整備効果

 撫養港海岸の防護区域には、我が国屈指の製塩企業および輸液製剤のトップメーカーである大手製薬の関連企業が立地しています。
 撫養港海岸が位置する鳴門市の化学工業の製造品出荷額は、年々増加傾向を示しています。

鳴門市の化学工業の製造品出荷額は年々増加傾向
資料:工業統計
図 化学工業(塩製造業、医薬品製剤製造業等)の製造品出荷額推移(鳴門市)
海岸整備、民間企業、鳴門市公営施設による賑わい創出
公共スポーツ施設「ウズパーク」
鳴門市が整備し、平成30年11月にオープンしました。スケートボード場のほか、バスケットボールコート、サイクルステーションが設けられ、オープン1年2ヶ月で利用者が5万人を超えました。令和2年2月にはボルダリング施設「ウズホール」が新設され、さらなる賑わいを見せています。

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